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コスト削減への尽力。ROIのベクトル。

(こちらのメールは2015年8月にマンスリーサポーターの方向けに
お送りさせていただいたものの一部を編集したものです。)

NPOの経営で重要な事は沢山あるわけですが、
OVAではコストを下げる事が極めて重要だと位置付けています。

まずNPOに限らず一般的な話ですが
そもそも製品(Product)の利益(profit)とは以下の単純な式に表せます。

利益=(価格ーコスト)×販売量

利益を上げるためには価格を上げるか
コストを下げるか、販売量を増やすかの要素しかありません。

これらの方程式の3要素をどう操作するかが重要ですが
コストの変数は実は見落とされがちでもあります。

一般企業において(優れた)経営者には
徹底したコスト感覚があるように思っています。

そもそもNPOというには
そもそも売り上げをあげていくのが
企業より難しい場合がほとんどです。

(もっとも、NPOといっても大きく3つに分類できて
我々の事業類型は受益者から料金をいただけないので
メインの事業で利益あげることが難しいのです。
価格がないので、ひたすらコストだけがかかる、
つまりやればやるほどリソースが
なくなっていくということです。)

そのため、コスト削減や・効率性を高める事をむしろ
企業以上にしなければいけないと考えます。

しかし、NPOには企業にはない
非常に粗利率の高い製品(ともいえるもの)があります。
(もちろん製品という言葉が正しいかはともかく)

それが皆さんにいただいている「寄付」です。
(「補助金」もそうです)
これは100%利益のように思えますが、
実際にはコストもかかっています。

例えば、決済システムのランニングコストです。
また実際には(管理費の)人件費は
OVAでは支払っていないですが、実際には
寄付を募る・その他管理という労力も生じています。

「資金調達の効率性」は補助金・助成金の方が
はるかに高いです。ただし、使用方法が限定的です。

全体の収益は製品の組み合わせ(ポートフォリオ)
そして管理部門のコストで決定されます。

そこで、まずコストを削減すること(効率化)
を行う事が重要になります。

管理部門においてはコミュニケーションのコストが
生じますから、ITを積極的に使うのは当然とも言えます。

例えば、一番お金がかかるのが事務所費です。

OVAはいわゆる一般的なオフィスを持たず
コワーキングスペースを使う事で
一般的より安くはなっているものの
年間で約25万円かかっています。
(※2015年11月付けで株式会社LITALICOさん内に移転しました。)

一般的に「自宅」を登記すれば無料ではありますが
やっていることの性質上あまりにも危険でそれはできません。

そのため現在この25万円のコストを下げるために
事務所を移転する予定で動いています。

事務所を移転するには
定款を変えたり、かなり煩雑な作業は生じますが、
もしこれを半額あるいはゼロ円にすることができなら
すべきだと考えます。

自殺予防のNPOをやって初めて気づいたのですが
一般的な会社の事業で25万円利益をあげるのと比較に
ならないほど25万の利益をあげることは難しいのです。

ストレスマネジメントの研修は企業に20万円で
売れますが、それよりも様々な難しさがある
自殺予防の研修や講演なのに、3万程度にしかなりません。

もっともこれは金額面での比較だけに
過ぎません。OVAが自殺予防の研修を対人援助職に
行う事はとても社会的な意義が大きいのです。
(なにせほとんどの対人援助職は自殺の危機介入ができないので)

一般的なROI(return on investment)のReturnのベクトルは
自分の団体を向かうわけですが、NPO・社会事業が考える
リターンが社会(social)であるというのが大きな違いです。

ROIは経営用語ですが
個人レベルでは「コスパ(CP)」という言葉だと
わかりやすいかもしれません。
Pとは自分の欲求を満たす、
自分の生活の利便性の向上をいいますが、
これが自分ではなく社会のパフォーマンスを
あげるための言葉として使われることはありません。

私はOVAの活動に私財も時間も全てつぎこみましたが
圧倒的にROIが高いと考えられるからこそできます。
returnは私ではなく、社会という意味です。

もっとも厳密に言うと私自身が社会です。

そういう意味では昨今の盛り上げを見せる
「社会貢献」という言葉は
「家族サービス」という言葉と似たような違和感を持っています。
(もちろん所謂「社会貢献意識の高まり」というものは
方向性として喜ばしいことなのだとは思いますが。)

さて皆さんはOVAに寄付してくださっています。
そしてOVAはほとんど(寄付者の皆様に)リターンを提供していません。

私にできることはいただいた
(託していただいた/投資いただいた)
お金を社会のために、若者の命を守るために有効に使うことです。

NPO法人OVA代表
伊藤次郎


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