なにを策定したか
特定非営利活動法人OVA(以下、OVA)は、OVAの事業、支援活動、研究、広報、組織運営その他の業務における、生成AIを含むAIの活用全般を対象とした「AI活用原則」を定めました。
「AI活用原則」は、AIを活かしながら、その活用に伴うリスクから支援対象者の安全や尊厳・権利を守るための、OVAの基本的な考え方を示したものです。
AI活用原則
- 【人間主体】 判断と意思決定は、人間が担う
- 【安全重視】 いのちと安全を最優先にする
- 【公平性の確保】 不当な差別や不利益を防ぐ
- 【こどもの保護】 発達の途上にあるこどもを守る
- 【依存の防止】 人や社会とのつながりを促進する
- 【プライバシーとデータ保護】 扱う情報を限定し、機微な情報を守る
- 【セキュリティの確保】 AIのセキュリティリスクを評価し、運用・管理する
- 【透明性の確保】 AIの関与を開示する
- 【説明責任】 責任は人間と組織が負う
なぜ策定したか
AIをはじめとする技術が急速に発展し、社会のあり方が大きく変わっていくなかでは、新たな社会的課題や、これまで見えにくかった困難が生じることが予想されます。
OVAが支援を届ける相手は、生きづらさや困難、孤立の状態にあるなど、自殺リスクが高く、必要な情報や適切な支援との接点を必要とする可能性のある人です。
OVAは、人間が担うべきことと、AIを活用できることを見極めながら、AIを積極的に活用することで、変化する社会においてもそのような人たちに支援が届く仕組み、AI時代のセーフティネットづくりに貢献することを目指しています。
そのためには、AIの利便性だけに目を向けるのではなく、対人支援に固有のリスクと向き合い、支援対象者の安全や尊厳・権利を守るための原則が必要です。そこで、組織として大切にする考え方と果たすべき責任を「AI活用原則」として明文化しました。
どのように策定したか
本原則のもとになる考え方は、当初、社内の一部の担当者が作成し、社内で保有していたものでした。しかし、対人支援におけるAI活用の在り方について全社的に議論を重ねていくこと、またその考え方を組織の外に向けて公開していくことが重要であると考え、改めてOVA内に検討委員会を設立しました。委員会での検討を通じて内容を見直すとともに、全職員からも意見を求め、本原則を策定しました。
委員会の体制
2026年6月から9月にかけて、委員会を計4回開催し、対人支援の現場と組織運営の両面から検討を重ねました。
委員会は、相談支援や事業運営などに携わるOVAの全部署の職員で構成しました(委員4名、運営2名)。
委員には、精神保健福祉士・臨床心理士などの有資格者を含む相談支援の実務担当者と、事業・組織運営の担当者が参加しました。それぞれの専門性や役割に基づき、支援対象者の安全や尊厳・権利、組織としての責任など、複数の観点から検討しました。
参照した基準・指針
策定にあたっては、AIに関連する各種原則、法令、ガイドライン等(※)を参照しました。
※UNESCO「Recommendation on the Ethics of Artificial Intelligence」、WHO「Ethics and governance of artificial intelligence for health」、UNICEF「Guidance on AI and children」、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」、内閣府「人間中心のAI社会原則」、「自殺対策基本法」、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」など
今後について
今後は、本原則を日々の業務に根づかせるための取り組みを進めます。
具体的には、原則に沿って運用するためのAIガバナンス体制の整備、職員がAIを適切に理解し活用するためのリテラシー教育、そして活用の状況を定期的に評価し改善していく仕組みづくりに取り組みます。
