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米国のメンタルヘルス団体の海外事例 ー17分野37団体の専門団体ー

OVAの事務局ブログをご覧いただいてありがとうございます。
事務局の土田です。

事務局では、普段より業務に関係する調べものを行っています。
先日、米国のオンラインのメンタルヘルスコミュニティ18%がメンタルヘルス資源一覧画像を作成していました。
画像はこちら→https://18percent.org/mental-health-resources/

日本と比較して、広い分野で充実しているようなので、この記事でご紹介したいと思います。
(米国でのメンタルヘルスへの関心についても少しまとめてみました。)

18%に関する過去記事はこちら!

「メンタルヘルス」分野の様々な課題

オンラインメンタルヘルスコミュニティ18%は、メンタルヘルスに対する偏見をなくし、アクセスできる社会を目指して作られたオンラインコミュニティです。
依存症、気分障害、家族のサポートやセクシャルマイノリティ特有のサポートなど、幅広いテーマについて話あったり、情報収集できるサービスになっています。
先日、米国内のメンタルヘルスに関する非営利団体の一覧を作成していました。

その中で特徴的だったのが、非常に幅広い分野をカバーしていることです。
具体的にどのようなテーマの団体が載っているかをすべて挙げると、
ADHD、双極性障害、自傷、暴力被害、自閉症、LGBTQ、自殺と危機的状況、学生と若者、境界性パーソナリティ障害、シニアのサポート、薬物・アルコール等の依存、産後うつ、性依存症、強迫性障害、摂食障害、不安とうつ、統合失調症、退役軍人
の17テーマ37団体です。

もちろんこの画像が、米国のメンタルヘルスに関する非営利団体をすべて掲載しているわけではありません。
実際に社会資源を探す際には、非営利団体だけでなく地域の公的なサポートもあるでしょう。
しかし、これだけの数の専門的な非営利団体がサービスを提供しているのは米国特有の現象かと思います。

米国でのメンタルヘルスの現状

2002年から2006年にわたって行われた調査(※1)では、日本で過去12ヵ月以内に精神疾患を抱えた人は全体の7.6%、その内医療機関にかかったのは21.9%という結果が明らかになっています。
10年以上前の調査結果ではありますが、約20%という受診率は当時も欧米諸国と比較して低い数値でした。

米国では、2016年の調査で過去12ヵ月以内の有病率は18.3%、医療機関にかかったのは43.1%という数値が出ています。(※2)
特に若年層の有病率の悪化、薬物・アルコール等の不適切な使用、医療保険制度の問題で医療にかかれないといった点が、大きな問題として取り上げられています。

参考※1 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26148821
(↑の日本語での説明 https://www.e-heartclinic.com/kokoro/byouki/ippan_morbidity1.html
参考※2 https://www.nimh.nih.gov/health/statistics/mental-illness.shtml

米国人はメンタルヘルスへの関心が高いのか?

10年以上の時間差がありますが、医療機関にかかる割合が日本に比べて約2倍高いという結果が見られました。
これは、米国社会全体の関心が高い現れなのでしょうか?

18%の画像にもあるように、米国では退役軍人向けの相談が設置されています。
先日も退役軍人の自殺率の悪化が話題(※1)になりましたが、退役軍人の自殺リスクの高さは長らく社会問題になっています。

他にも、アパレル分野のケイト・スペード・ニューヨーク財団がメンタルヘルス関連の団体に約1.1億円の寄付を行う(※2)、グラミー賞を受賞したアーティストがメンタルヘルスサービスに約1億円の寄付を行う(※3)、自殺予防ホットラインの番号をタイトルにした楽曲がビルボード3位にランクされる(※4)など、社会課題、セレブリティ、エンターテイメント分野などで幅広くメンタルヘルスが大きいニュースになることがあります。

社会的な偏見(スティグマ)が生まれやすい分野ではありますが、問題意識の高さや社会的に受け入れる意識の強さなどは、日本でメンタルヘルスに関わるNPOが指標にするべき点があるかもしれません。

参考1 「若い米退役軍人の自殺急増、10万人あたり45人に」
https://jp.wsj.com/articles/SB10409681559895564521504584498543986593848
参考2 「ケイト・スペード・ニューヨーク財団が、メンタルヘルスの支援団体に総額1億円を寄付。」
https://www.vogue.co.jp/fashion/news/2018-06-21/kate-spade-donation
参考3 「Chance The Rapperが100万ドルをシカゴのメンタルヘルスサービスに寄付」
http://fnmnl.tv/2018/10/09/60403
参考4 「LOGICの楽曲「1-800-273-8255」が自殺を予防している。彼の最も重要な楽曲」
https://playatuner.com/2017/07/logic-suicide/

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