特定非営利活動法人OVAは、和光大学 現代人間学部 の末木新 教授と共同で、重度の心理的苦痛を有する成人の方(K6≧13※)1,024名を対象とし、自殺危機時におけるAI相談と専門家によるチャット相談の利用意向についてウェブ調査を実施しました。その結果、19.5%の人が自殺の危機を感じたときに「AI相談を利用したい」と回答、21.3%が「専門家によるチャット相談を利用したい」と回答しました。
なお、今回の発表は査読を経ていないプレプリント段階での調査結果であり、今後、内容が修正される可能性がございます。
※K6:精神疾患のスクリーニングを目的に開発された心理尺度。13点以上が重度の心理的苦痛を有するとされています。Kesslerによって開発され、厚生労働省「国民生活基礎調査」など広く活用されています。
調査の背景
自殺対策におけるICTを活用した相談支援が進む中で、相談窓口の応答率の低さや人材確保といった課題も抱えています。一方で、AI技術は急速に進歩し、メンタルヘルスケアへの応用が期待されています。AIによるチャット相談が抑うつ症状や不安症状を改善したり、人間と同等の共感スコアを示す研究結果も出ています。
こうした状況の中、国内では自殺対策基本法が改正され、人工知能の活用が基本理念に盛り込まれるなど、新たな技術への関心が高まっています。しかし、実際に生きづらさを抱える人々が、AIによる相談支援を求めているかは不明でした。本調査は、この点を明らかにすることを目的としています。
今後の展開
当法人としては今後、自殺対策におけるAI相談の質向上と安全な社会実装を支える包括的基盤を整備することを目指します。
具体的には、 ①自殺念慮を抱える利用者への生成AIの応答を安全性・共感性・倫理性・危機対応力等の観点から客観評価できる実践的チェックリストを作成し、②その知見を用いた自動評価システムである評価AIを開発します。
これにより、自殺対策におけるAIの「適切な活用」を推進し、誰もが安心して支援を求められる社会の実現に貢献します。

ダウンロード
本調査の詳細については、下記のPDFからご参照ください。
なお、今回の発表は査読を経ていないプレプリント段階での調査結果であり、今後、内容が修正される可能性がございます。
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特定非営利活動法人OVA事務局