インターネット・ゲートキーパーとは

死にたいほどつらい気持ちについて
ウェブで検索する子ども・若者を中心に
相談を促す広告を表示して、ネット相談を行う

情報疫学

検索連動広告(検索エンジンの検索結果に広告表示する)を利用し、
自殺関連語の検索をした人に対して相談を受ける旨の広告を出し、
その上で相談を主にメールやチャット、通話などを介して受け、
相談者それぞれの問題を明確化し、現実の医療・福祉等の援助資源につなげるという
オンライン上でのゲートキーパー活動(ハイリスクアプローチ)。

新しいアウトリーチの考え方


アウトリーチ(Outreach)とは「手を伸ばす/差し伸べる」などを意味し、
問題を抱えた人などが相談機関に訪れるのを待つという態度ではなく、
こちらから積極的に出向いていく(手を伸ばす)というものです。

例えば往診、訪問看護、Assertive Community Treatment (ACT) などがこれにあたりますが、
それらのアウトリーチとは、対象者がすでに「特定」されており、
そのうえで足を運んでケアを提供しようというものです。
しかし、自ら助けを求める力(援助希求能力)すらなくなっている/ない人も沢山います。

「夜回り活動」は水谷修氏やその他のNPO活動が行っているものであり、
非行少年・家出少女、ホームレスと思わる人を夜の街で目視で確認し、声をかけ
必要であれば支援するものであり、より積極的なアウトリーチと言えます。

しかし、自殺の危機にある人を
夜の街を見回っても特定することはほとんど困難です。
(できるとしたら、それらは自殺のハイリスク地と呼ばれるところでの見回り活動です。)

そこで、OVAではマーケティングの手法を使い
(自殺念慮をもった人の検索行動に注目し、検索連動広告/リスティング広告を使用することで)
自殺念慮を特定し、アウトリーチする手法「夜回り2.0(インターネット・ゲートキーパー)」を開発しました。
(現在は、「インターネット・ゲートキーパー」と活動を称し、広く展開しています。)

それらは全てインターネット上で行い、全て自動化されています。
一部の地域や時間も限定することができます。

 

情報疫学(infodemiology)の具現


情報疫学

インターネット・ゲートキーパーの取り組みはマーケティングの考え・手法から開発していますが、
情報疫学(infodemiology)に関する研究の発展と連動したものでもあります。

情報疫学とは、インターネットを中心とした
電子メディア内に散在する情報をリアルタイムで収集・分析することで
地域全体の健康への脅威を扱うアプローチです。

具体的には検索エンジンを
特定の病気や社会的なリスク/問題を抱えた人々を
抽出するための「スクリーニング」とみなす事ができるということです。

Googleの検索クエリからインフルエンザの流行を予測するといった
「Googleインフルトレンド」が情報疫学の嚆矢となっていますが
現在では、疾病のみならず、自殺についても多数の研究が、
自殺に関するウェブ検索と自殺の危険性との間に関連があることを示しています。

すなわち自殺に関連した用語を検索エンジンで調べた
一部の人達は自殺によって亡くなる、ということです。

そのためOVAでは検索エンジンを自殺ハイリスク者を割り出すためのスクリーニングと見なし、
特定、介入し、適切な援助資源につないでいく活動をしています。

インターネット・ゲートキーパー協力者(Partner)


日本で唯一「ネットと自殺」について研究している
和光大学の末木新先生と協力関係にあります。

末木新先生の詳しいプロフィールはコチラです

著作:『自殺予防の基礎知識 – 多角的な視点から自殺を理解する-』
『インターネットは自殺を防げるか: ウェブコミュニティの臨床心理学とその実践』

インターネット・ゲートキーパーの特色/可能にしたこと


・ネット広告によって自殺ハイリスク者を「特定」し、アウトリーチできるようになった。
(新しいハイリスクアプローチ)

・地域を限定したアウトリーチが可能。
(例えば東京都にいるハイリスク者だけにアウトリーチが可能)

・主にメール等で介入し、継続的な相談を受け、
相談者の問題を見立て、医療や福祉等の必要な社会資源につなぐ事ができた。

・自殺の危機にある人、一人ににリーチするための広告費用は約137円(CPA)で可能。
(第1期夜回り2.0で計算)リソース対効果が測定可能。

・精神保健福祉士などの対人援助職が相談員。
(今後も、原則として専門家のみを相談員にする予定です)

インターネット・ゲートキーパーの成果

インターネット・ ゲートキーパー事業 から生み出された 研究の概要について 末木新(和光大学 現代人間学部 教授)

研究・論文実績

「ネットと自殺予防」研究について第一人者である
和光大学の 末木 新先生とパートナーシップを結んでいます。

■こころの科学
伊藤次郎(2016).
インターネット・ゲートキーパーの現場から
こころの科学, 186.

■Crisis
Sueki, H., & Ito, J. (2015)
Suicide prevention through online gatekeeping using search advertising techniques: A feasibility study.
Crisis 36(4), 267-273.

■最新精神医学
末木新・伊藤次郎 (2015).
インターネットを使った自殺予防:ゲートキーパー活動におけるリアルとネットの融合
最新精神医学, 20(3), 213–219.

■精神科治療学
末木新・伊藤次郎 (2015).
インターネットを用いた自殺予防の試み:夜回り2.0における援助事例
精神科治療学, 30(4), 505–509.

なお、心苦しいのですが、本サイトからは相談をうけておりません。
こちらから相談窓口を探されてください


URL
TBURL
Return Top