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AGI時代の「生きる」をどう支え合うか

(こちらのコラムは、2024年1月分のメールマガジンの代表伊藤によるコラムを掲載したものです

内容が長文のため最初に要約を用意しました。

【要約】
・2023年はAIの民主化・飛躍が進むと共に政治によるAI規制が本格化した。

・AI規制の議論は、比喩的に表現すれば、楽園への道である「懸け橋」が壊れて人類全体が落ちないようにする議論である。「橋」の安全性だけでなく、それを渡る「個人とその経験」に焦点化した議論も必要があるのではないか。つまり、セーフティネット、福祉の観点である。

・数年以内に実現されるとするAGI(万能AI)の実現によって、誰もが影響を受ける。仕事への影響など、未来予測はその多くが外れるが、大きく言えばAGIによって仕事や生活に影響がない人はほぼいないだろう。

・国家によるUBI(ユニバーサルベーシックインカム)は「生存」を支えるという一側面でのアプローチにすぎず、人間の「生きる」の充足はもっと多様なはずである。

・競争社会において能力主義が内在化され自尊心を保ってきた個人に心理的危機が訪れることを懸念する。AGIに能力的に勝つことはできず、喪失を経験しうる。

・新たに立ち上がりうる問題は生きる糧が得られない「飢え」ではなく「意味への飢え」「存在意義の喪失」であり、それは直接的な「分配」による解決が難しく、仕組み・補助線が必要である。

・ソーシャルワーカーという立場上、大きな社会変化によって不利に置かれたり、苦しみを抱えうる個人にもっと焦点化するよう問題提起をしたがAIの飛躍的発展はあらゆる科学の発展をもたらし、個人の生活に多大な恩恵をもたらす。希望の語り合いと明るい未来を語る国内リーダーがもっと必要であるとも感じている。

 

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【目次】
1.AIの発展そして規制が加速
2.もっと「個人の経験」に焦点化を
3.個人にとって何がリスクなのか?
4.仕事はどうなる?不確実な仕事の未来
5.UBIで「生きる」は支えきれるか?
6.分配が容易ではない「生きる意味」「存在意義」
7.注釈・参考文献
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1.AIの発展そして規制が加速

2023年はAIの民主化がすすみ「生成AI」の発展は一部の人を熱狂させた。それはAI関連企業の株価が右肩上がりになることでも表現されている。そしてAI開発企業のマーケティングもますます過激化しているようにも感じられる。(※1)

また「ハリウッド・ストライキ」(※2)や人工知能の第一人者が危険性を語るためにGoogleを退職する(※3)など象徴的なことも起こった。SFで度々語られていたAIの危険性は、現実の政治で具体的に取り扱われる事項になった。つまり規制である。

具体的には「広島AIプロセス」(G7)、「包括的AI規制法案」(EU)、AIに関する大統領令(米)、AIに関する諮問機関(国連)など、「AIアライメント(AIと人間の価値観や目標の整合性)・AIガバナンス(管理・統制)・AIセーフティ(安全性)」の重要性が語られ、具体的な規制がすすんだ年でもあった。

日本の国会でも取り上げられ(※4)、今月には生成AI等に関する安全基準や評価手法を定める「AIセーフティー・インスティテュート」が発足される旨も報道もされている。(※5)

また最も重要なことはAGIの実現である。数年前までは「AGIの実現は不可能」もしくは数十年先と言われていたが、昨年はAGI実現の可能性が多くのAI関係者から具体的なスパンで語られた年でもあった。今では人類の知能をはるかに超えるASIの話題もある。

日本ではAGIやASIをどのような言葉で表現するかが定かではないし、それを分けることに多くの人にとって意味があるのかもわからないが、AGIは「万能知能」(※6)、ASIは「超知能」(※7,8)くらいが分かりやすいのかもしれない。

(ここではAGIをOpenAIの定義にならって「最も経済的に価値のある作業において人間よりも優れたパフォーマンスを発揮する高度に自律的なシステム」とする。※9.10)

技術的な開発という意味において「AGIが数年以内に実現される」とAI開発関係者は口を揃え発表するようになった。OpenAIはAGIの先を見据え、人類の知能をはるかに凌ぐ知能を持ったASIも10年以内に実現する可能性があるとして、その制御方法について公募をかけている。(※11,12)

未来は誰にも予測できないが、誰かのビジョンによってのみつくられる。AGIの実現が一部のビジネスリーダー・組織の具体的なビジョンであることは疑いようのない事実である。

歴史的に、革新的な商品の社会的な実装や普及は直ちに行われず、数十年かかるとも言われる論もあるが、AGIはそもそも既存の「商品」「技術」と比較できるようなものだろうか。少なくとも人類史上「人間を超える知能」を製品として生み出したことはないだろう。

この文章の書き手は社会的に不利に置かれている人を支援したり、その声を社会に届けて社会変革を目指す、ソーシャルワーカー(精神保健福祉士)である。

また検索連動広告を利用して、検索されるワードから自殺やそれ以外の生活課題(例:DV被害/生活困窮/メンタルヘルス/虐待)を抱えている人を地域で特定してリーチするという取り組みを始めたNPOの代表であり、AI開発の関係者ではない。

以下は「生成AI」というより、数年後に訪れうる「AGI(万能AI)」時代において、「個」の「生きる」をどのように支え合う社会を作っていくのか、個人の経験が見過ごされないよう問題提起のために書いている。

2.もっと「個人の経験」に焦点化を

AIアライメント/ガバナンス/セーフティ(乱暴ではあるが以下「AI規制」とする)は極めて重要で、スピード感をもって最もリソースを割くべき最優先問題である。(※1)

比喩的に表現すれば、AI規制の議論は、楽園への道である「懸け橋」が壊れて人類全体が落ちないようにする議論である。仮に「橋」は壊れないにしても「橋を渡れない人・橋からこぼれ落ちる人」は出てくるだろう。

しばしばこのような大きな議論をする際には「個人」がないがしろにされがちである。「橋」の安全性だけでなく、それを渡る「個人とその経験」に焦点化した議論や取り組みも加速する必要があるのではないか。それが一つの問題提起である。

「楽園への懸け橋」DALLE3(ChatGPT)により作成

現状は「未来」と「橋の安全性」だけに焦点化した議論・取り組みだけが加速している印象がある。前者は主語が大きく、ほとんどの人がかかわる余地が”ない”が、「個々の人間とその経験」に焦点化した議論は多くの人が考えたり何か行動する余地も残されている。

加速する生成AIの発展、数年以内に実現されるとするAGI(万能AI)への登場は全人類に影響を確実に与える。しかしどのような影響があり、<わたし>はどういう経験をするのだろうか。

社会的に不利に置かれる個人は誰でどの程度いるか、誰がどのような痛みを経験するのか。どう社会としてケア・支え合うのか。

AGIが実現し、社会に浸透する過程で生まれる個人の痛み、それを受け止めるためのセーフティネット(橋の下のネットや、そのネットからまた橋にあがるためのハシゴなど)をどう構築するのか。

福祉的な観点からの議論や研究・実践を今、加速していく必要はないのだろうか。

3.個人にとって何がリスクなのか?

OpenAIは、2023年に「GPT-4 System Card」を発表している。モデルの安全性の課題も含んだ文書であり、例えばそこで書かれているAIのリスクを一部あげれば「ハルシネーション(幻覚)」「有害なコンテンツ」「偽情報・影響力工作」「通常兵器と非通常兵器の拡散」「プライバシー」「サイバーセキュリティ」「危険な創発行動の可能性」「過度の依存」などが書かれている。(※1)

ここではリスクや問題の影響を軽減するための手段やプロセスを技術的な観点で展開するもので、例えば具体的な事象が起こって、個人に影響・被害が及ぼされた際にどのように対応すべきかが描かれているわけではない。

例えば「SNS上に日常をアップしていたAさんの動画を勝手に第三者が利用。Aさんが差別的な発言をしているフェイク動画を作成し、SNSにアップ。それをフェイクではなく、本当の動画だと信じたユーザーが反応し、動画の元になっているAさんを特定し、個人情報が流出。かつ誹謗中傷を受けて、Aさんは強いダメージを受け、精神疾患を発症し、仕事もできなくなり、自殺未遂をした」

そのようなケースが起こった場合、SNSプラットフォーマー側の規制(アーキテクチャ)、法的問題、医療・心理的支援など、被害にあった個人を支えるのに社会的に必要なことは多岐にわたる。「GPT-4 System Card」やAI規制で言われていることは、そのようなことが起こらないような技術的な観点からの議論である。

よって「技術的に起こりうること」によって、個人がどのように影響を受けるのか? そのナラティブ(物語)を想像し、予防的に、または起こってしまった場合に素早く対処できるように、社会は用意しておく必要があると考える。

私が所属するNPO法人OVAでは自殺に追い込まれている人の相談をネットで受けている。NPOや相談支援団体は、まだ社会的に認知されていない、社会的な問題を引き受けた個人と出会いやすく、いち早く社会的な問題を察知しやすい。そのため、このようなAIに影響を受けて困難を抱えているケースと出会ったら、社会にフィードバックして社会化し、場合によっては政治にも働きかけ、対策を講じるよう訴えかける必要がある。

個人的な直感ではGPT-4以降、個の能力の「拡張」が今までにないほどに大きくなっているように思えるし、犯罪などに利用されれば、当然、今までとは規模が違う被害が起こる。

もはや「百聞は一見に如かず」というコトワザは捨てる必要があるだろう。全ての人が目に見えるもの、聞こえるものが「本物・現実とは限らない」という前提を持っておく必要があるように思える。

予防接種(プレバンキング)として、まもなく国民全員に新たな標語を作って、啓発も必要である。

生成AIが詐欺、他者への攻撃に大規模に利用されるのは時間の問題だろう。現状では、人間に似せたロボットと対峙すれば、さすがに人間との判別がつくが、画像・動画・音声レベルであれば、今年中には多くの人にとって区別がつかなくなるだろう。あなたの携帯にかかってくる家族の声、職場にかかってくる電話の声は上司ではなく、AIによるフェイクである可能性が十分にある。

少なくとも機器を通じて「見ることも、聞くことも、信じることではなくなった」(※2)。

4.仕事はどうなる?不確実な仕事の未来

誰もが気になり、随分前から話題にしているのが「AIによる失業」であり、それはすでに起こっている。米国ではLLMを開発しているビックテックがレイオフを宣言し、進めている。皮肉にもAIの開発企業が、AIの計算能力を高めるために、天文学的な予算でGPUを購入し、人間をレイオフし、採用を控えているのである。(※1)

いわゆる「技術的失業」は、「労働移動」によって解消することができるとされている。つまり、別の業種や企業に移動することである。人手不足の業界に転職したり、AIによって新たな仕事が生まれるため、新たにスキルを身に着けて就労する。

もっとも来るべきAGI時代において、リスキリング/就労支援だけではどうにも心許なく感じられる。スキルの移り変わりが激しすぎて、追いつけるのだろうか。

2023年にChatgptを有料契約してbot(GPTs)を作成してみた人がどのくらいいるだろうか?プロンプトエンジニアリング(AI魔術)に関するレポートや書籍を読んで学んだ人がどれだけいただろうか。きっと、かなりの少数なはずである。

一部の人の熱狂や懸念をよそに、世界のほとんどの人はAIに関心をもって「いない」と思われる。

そもそも”全てにおいて”人間を超える知的生産が可能で、かつ自律的に行える知的存在(AGI)が誕生すれば、生身の人間が知的なスキルを身に着けることに(労働市場という文脈において)どれほどの意義があるのだろうか。おまけにAIは24時間働いて、学び続け、心身の健康を害することもないのである。

もちろん、そもそも論として労働を前提とせずに「AIに働かせて人間が労働から解放されること」を目指す話もある。誰もが実現を願っているだろう。しかし、それはAIの発展だけではなく、エネルギーの問題を解決する必要が出てくると思われる。(もちろん両者は関係性がある)

現在「地上に太陽を作る」夢の技術といわれる「核融合」に多額の投資がなされている(※2)、実現すれば、安全で、かつほぼ無限のエネルギーが取り出せると言われる。そうすれば限界費用がゼロに近づいて、ほとんどのモノは極めて安価、場合によっては無償になるだろう、だから働く必要もない、という筋書きは多くの人にとって希望に満ちて感じられるかもしれない。

もしかしたら近い将来、実現できるのかもしれない。人間が豊穣(ほうじょう)の世界に到達できることは信じたい。ただ、AGIの実現「後」にエネルギー問題の解決に向かっていくことが想定され、向こう数年スパンの短期で言えば「労働からの解放」はかなり楽観的に思える。(それどころか、今起こっているのはインフレで日々の生活が厳しく、戦争も起こってエネルギーの供給も安定しているとは言えない状況である)

このような楽観的な見通しは、過渡期も人間は「生きる」必要があり、ほとんどの人が自らの労働力を資本に明日の「糧」を得る必要があること、また多くの場合、何年も働かずにすむような貯金も持ち合わせていないことを忘れている。

AIを開発し、半導体を手に入れ(※3) 、莫大な計算力を持つに至ったビックテック(※4)は今後も飛躍的にスケールアップするだろう。身もふたもない話をすれば、ここまで計算力に顕著な差があれば、米国以外は「規制」を強めて、競争の差を縮める他ないのかもしれない。

そして個人でいえば、AIを使いこなせるごく僅かな人とそうでない人の知的生産性の格差は今までの比でないことはほとんど確実だろう。複利(金融)もAIの「テコ」も持たないほとんどの人と、所得の格差もただ広がるばかりだと想像する。

そして、今は数年前に言われていたような所謂「ブルーカラーの仕事がなくなり、次にホワイトカラーの仕事がなくなり、人間の創造性が残る」といった論調は的外れになってきている。(※5)

むしろ創造性や知的作業はもっともAIが得意とすることであり、ロボットはAIを搭載しても、人間の幼児ができるような動作すらもできないことがある。(モラベックのパラドックス(※6))

よって短期的に影響をうけるのは知的生産と予想される。ただ、肉体・技術労働が全く影響を受けないかというと、そうでもないように思える。

例えば、家を作る大工さんのような動きはAIを搭載したロボットでもまだできないので、その業務をAIを搭載したロボットで完全に代替することはかなり難しい。

しかし、しばしば人間の起業家は今の業務の効率化するためにAIを活用しようという思考ではなく、事業自体をAIファーストで、オペレーションからゼロベースで考え直す思考をする。もし全てロボットで作った家が、人間が作る家と同程度の機能を実現し、値段がずっと安ければ、消費者はそれを買うと思われる。ただ、現時点での技術ではロボットで複雑な家をつくろうとすることは人間の大工さんが作るよりもはるかに高くつくだろう。

ここで言いたいことは、仕事においても生活においてもAIの発展に影響を受けない人はいないだろうし、正確な未来予測も難しいということである。

日本の場合はなおも深刻な人手不足があることや、米国のように急にレイオフできるような労働契約のあり方ではない。米国と比較すればAIの導入も積極的ではないため、向こう数年(特に正社員の方は)雇用の状況もさほど影響がないということもあり得る。そもそも今、従事している私たちの仕事のほとんどが最近生み出されたものであり、新たな技術が生まれれば、新たな仕事・雇用が生まれるであろう。(※7)

また米国ですでに起こっているようなAGI実現に対する強い反対や価値観の衝突も、日本では今のところ運動としてほぼないようにも感じられる。反対運動を行うNPOもない。日本人の多くが一神教を信仰しておらず、ロボットが敵ではなく、フレンドリーに描かれる漫画・アニメ(鉄腕アトム/ドラえもん)を楽しんでおり、ロボットやAGI/ASIへの文化的受容度が高そうである。

日本では定期的に地震など自然災害が起こる。頻繁に痛みや悲しみを経験する。その度に人間によって自然が制御できず、自分よりも大きな存在であることを経験する。私は自宅から少し行くと、富士山が見える地域に暮らしているが、噴火については個人としてはそれを制御できず、起こったらただそれを受け入れ、翻弄されるだけである。現時点で、富士山は私にとってはるか超人的な存在である。

もしかしたらAGI/ASIが他の自然のように、案外当たり前に、慣れて、混乱なく受け入れられるのかもしれない。それでも、個から見れば、今後の社会的な大きな変化に影響を受けて、仕事の面や生きづらさを抱える人は出てくるだろう。人間にとって変化はストレスで、誰もが変化に適応できるわけではないためである。

「ASIとしての富士山」DALLE3(ChatGPT)により作成

5.UBIで「生きる」は支えきれるか?

AIの発展は、人間に今までにないほどの大きな恩恵が受けられるようになると思うが、前述したように特定の企業・個人の知的生産が莫大なものとなり、格差が極端に広がる可能性がある。重要な問題はやはり「分配」である。

目下、新技術である生成AIは誰もが利用できるようにアクセシビリティを高める必要がある。現状の生成AI(GPT-4)でも、とてもパワフルで知的生産を大きく引き上げている。私自身もGPT-4の登場以降はそれなしでは仕事が出来なくなっている状況である。

AIへのアクセシビリティは一見、随分と進んでいるように思える。無料で強力なモデルが使えるし、学びのための無償PDFや動画研修も沢山ある。しかし、それは日常的にパソコンを開いてソフトを動かす力がある人の中での話である。

そもそもパソコンを全く使えない人も沢山いる。リテラシーが異なっていれば、前述したように、生産性の差は開くばかりである。しかし、今年はマルチモーダル(見る・聞く・話す)が進み、「話し言葉」でAIを使えるようになり、AIはより民主化される期待もある。

どれだけAI利用へのアクセシビリティを高めて公平さを担保しても、前述したように、その変化に適応できない人達が出てくるだろう。

社会保障は産業革命から生まれたが、眼前に迫るそれか、それ以上の変化に人間の社会保障の再構築の議論もしていく必要がある。個人の直感ではあるが、もはや人間の労働に税をかけている場合ではないだろう。

まもなく真剣に「ユニバーサルベーシックインカム(UBI)」も考える必要があるのかもしれない。OpenAIのCEOであるサム・アルトマンはそれを見据え、ワールドコインという暗号資産を作り、UBIについての実践・研究などにも関与していて発言も多い。

ただUBIは万能薬ではなく、現金を配っても、幾ばくかの問題のみを解決すると思われる。それを導入した国家は今のところ一つもないが、そもそも主体が「日本政府」というだけである必要はない/もしくはそれだけで考えるのが難しいのかもしれない。

web3.0ではブロックチェーンゲームにおける「Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)」を代表に、あらゆる人間の行動が「稼ぎ(to-Earn)」につながり、新興サービスのトークンを保有すると「給付金(エアドロップ)」が支払われるのは知られている。

例えば眠ることとアプリを連携させることは、個人の睡眠の情報を引き渡していることでもある。検索エンジンやSNSを利用することも「データを引き渡していること」であり、何かをつぶやいたりコメントすることは、SNSコミュニティを活性化させている。

AIの食事はいわば「電気」と「データ」である。現在、私たちはWEBサービスを利用する際、無料で利用する代わりに、自らのデータを提供する取引を行っている。ユーザーのデータは企業の原材料である。データをユーザーが生み出して、企業が「商品」とする。つまりマーケティングやAI発展、製品開発に利用し、それで企業が利益を得て発展している。であれば、WEBサービスの無償利用だけでなく、もう少し利益の一部をユーザーに分配してもよいのではという考えもあることは自然である。例えばSNS、メタバースを利用しているだけで「稼げる」いわば「Engage-to-Earn(参加して稼ぐ)」である。

また、コロナ禍以降、NPOという主体は政府・自治体が行っていたような「給付(お金・食料)」をアウトリーチ的な文脈(支援を必要な人に届ける)で行うようになっている。

政府UBIだけではなく、様々な企業の無償の商品(フリーミアム)やいわば「ポイ活」の拡張版のような生活をするだけで稼げる(to-Earn)。NPOによる緊急的な食料や衣料などの給付など、様々な主体による重層的なベーシック衣食住(インフラ)で生きるを支える/支え合うのが現実的なのかもしれない。

6.分配が容易ではない「生きる意味」「存在意義」

ただ、ソーシャルワーカー(対人支援職)の立場として懸念していることは技術的失業とそれに伴う生活の困窮ではない。(それは今までにも様々な支援がなされてきて、仕組みやナレッジもある)

懸念されることとして、自分が仕事などで積み重ねてきたことが、いかにも簡単にAIに超えられてしまう「喪失体験」が痛みとして起こりうることだろう。

知的生産においてAGIに人間が叶うことはなくなった場合、それは不可逆的である。すでに特化AIによって、囲碁・将棋の世界では数年前からそれが起こっていて人間が勝つことはおそらく今後ない。ただし、スポーツなどの競技についてはそれが人間に観戦されること自体に価値が見出されているため、通常のビジネス(知的生産)とは異なっている。

仕事は多くの人にとって、生きていくための「糧」でもあるが、それ以外の要素も多くある。

競争社会は、能力主義が個人に内在化されがちである。「努力してきた、そして勝ってきた、そして高い収入を得ている」足し算を重ね(スキル等を身に着け)、他者との優位性で自尊心を保ってきた個人にとって、AGIによってあっけなく越されることは、どのような心理的経験をもたらすだろうか。

きっと中には自尊心が揺さぶられ、今までの努力を無駄にされているかのような喪失体験と燃え尽き(バーンアウト)を経験する人もいるだろう。

(今日のマーケティングは全て<わたし>の欠乏を他者比較のもとに刺激される。 「もっともっとスキルを身につかなければいけない」とAIや他者と常に比較し、 欠乏を自覚し、足し算で追いつこうと考えると、自信を失ってしまいそうである。私自身はAIや他者と競争するつもりも、比較もしたくもないため、幸福を追求もせず、適当に今に幸福を見つけ、堕落しながら、今日を生きるつもりである)

現時点で、社会に備えや経験がさほどない、新たに起こりうる問題は生きる糧が得られない「飢え」ではなく「意味への飢え」「存在意義の喪失」かもしれない。

「私の努力は、私の今までは、なんだったんだろうか?」

それは個人の主観であり、資源の直接的な「分配」による解決は難しそうである。
そのため、それが得られやすいような仕組み・補助線が共有されるとよいと考える。

つまりUBIは「生存」を支えるという一側面でのアプローチにすぎない。人間の「生きる」の充足はもっと多様である。

仮にAGI/ASIと技術革新が進み、人間が担うことが減ってきても、きっと「働きたい」というニーズは一定ある可能性がある。

「死にたい(自殺願望)」の中身は「孤独感」と「負担感」と言われる。(※1)負担感とは、「自分が迷惑で、社会のお荷物である」という感覚である。充足して「生きる」ためには私たちには「誰かの役に立っている」という感覚や「居場所」「つながり」が必要である。職場での仕事は大変ではありながら、一定、それを充足させている側面がある。

例えば、もしAIを理由とした解雇・レイオフが多くなされ失業者が増える社会となってきた場合、企業にNPOのような非営利型の部門を作って、利益を出さない/出してはいけないボランティア・文化的な活動をさせる専門の職員を雇い、企業が給与を支払うといった事も考えられるかもしれない。

ビックテックを中心にAIによって莫大な利益を得る会社には、企業の利益を目的と”しない”雇用を創出させ、損益計算書上にその費用を開示する「文化」を作るなども考えられる。さらにもっと強い介入を国家がするとしたら、その雇用率を一定に定める法律をつくり、それを満たさない場合は罰金を科すなどである。(これらに関連した考えとして「雇⽤保証制度」というアプローチがある(※)

また、ブロックチェーンに基づくDAO(分散型自律組織)の法整備をより国家がすすめ、より市民活動が活発化する施策をとり、ゆるやかなコミュニティ(帰属意識)や、社会参加を促し、さらに言えば、発行するトークン(暗号資産)が地域デジタル通貨や企業の商品と交換できるようになれば、生きる糧まで得られるかもしれない。多くの人にわかりやすいイメージで言えば、近くの公園の掃除をしたら、ポイントがたまる感じである。(そしてそれはブロックチェーンに全て記録・開示され、トレースできるから誰が地域・コミュニティに貢献しているかが可視化される)

私自身は孤独感を減らすためには人間同士のつながりが最も重要で、必要だと信じてきた。今は孤独感や負担感の充足には必ずしも人間同士ではなくてもいいのかもしれないとも考えるようにもなっている。これから人間やロボット、AIの境界線はどんどん薄まっていくだろう。

昨年はすでにホログラムと結婚した女性も出てきた(※)日本ではロボットのお葬式もある(※)。考えてみれば私たちは「神」「自然」「ペット」「亡くなった大切な人」ともすでに「つながる」という経験をしている。もっと言えば、そこにいなくても、過去の大切な思い出(ノスタルジー)も私たちを孤独から解き放ちうる。

私たちにより必要になってくるのは、そのような他者や過去とのつながりをつくること(そしてそれはテクノロジーがかなり有用であろう。NPO法人OVAがやっていることでもある。)や社会システムから「生きる」に必要なベーシックインフラを取り出す仕組みに加えて、責任主体として他者に贈与できる機会の創出なのかもしれない。

さて、問題提起を趣旨としたため、全体的に明るくないと感じる内容だったかもしれない。

大きな物語で言えば、私たちはAIの発展によって、今では信じられないような恩恵を手にするだろうと私は信じている。

多くの人が好きでもない仕事はほどほどにして、AIを活用して「つながり」をさらに生みながら、よりずっと健康で、平穏な気持ちで過ごす時間もずっと増えるかもしれない。

AIの飛躍的発展はあらゆる科学も発展させ、大きく個人の生活に寄与する。

人間の多くの苦しみも取り除けるかもしれない。

私も希望を持っている一人である。

来てもいない未来に絶望したり、過度に不安になる必要は決してない。

しかし備えは必要である。私はソーシャルワーカーという立場上、かつてない変化の兆しがある中、個の経験が置いてけぼりになりうることに危機感を抱き、問題提起のために投稿した。

私たちの「生きる」には希望が必要である。

希望の語り合いも、明るい未来を語るリーダーも、もっと現れることを心から願っている。

※このコラムは2024年1月24日に執筆しました

伊藤次郎(NPO法人OVA代表/精神保健福祉士)
詳細プロフィール:
https://ova-japan.org/?page_id=190

ご意見(ご批判も含めて)・ご感想がある方はぜひご連絡ください。
https://forms.gle/BNbhXTpL1gEx8vbb7

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7.注釈・参考文献

1.AIの発展そして「規制」が加速

※1 2023 年12月19日にニューヨーク・タイムズ(米)は「AGI Breakthrough」というセンセーショナルな見出しの一面の紙面を打ち出した。内容はVERSES AI IncからOpenAIへの協力依頼した公開書簡であり「広告」であった。(VERSES AI Incは神経科学者で自由エネルギー原理で著名なカール・フリストンが所属)なお、その後ニューヨーク・タイムズはOpenAI及びマイクロソフトに対して、著作権侵害として訴訟を起こしている。

VERSESのCEOによるXでのツイート。紙面が画像掲載されている。
https://twitter.com/GReal1111/status/1737205475886940349/photo/1

VERSES AI Inc「VERSES Identifies New Path to AGI and Extends Invitation to OpenAI for Collaboration via Open Letter」https://www.verses.ai/press-2/verses-identifies-new-path-to-agi-and-extends-invitation-to-openai-for-collaboration-via-open-letter

※2 全米映画俳優組合は生成AIによる仕事の代替や著作権・肖像権が侵害をめぐって、危機感が高まり、ハリウッド史上最長となる118日間のストライキを起こしたが、2023年11月8日全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)と合意した。
参考:ハリウッド・ストライキの本質、「AIによるスキル収奪」への抵抗
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02575/111400007/

※3 人工知能研究の第一人者で、イリヤ・サツキバーの大学院時代の教員であったジェフリー・ヒントンは2023年にGoogleを退職。その理由を「AIの危険性について語ることができるようにするため」とした。
参考:AI想定より速く人知超える公算、危険性語るためグーグル退社=ヒントン氏
https://jp.reuters.com/article/tech-ai-hinton-idJPKBN2WT19X/

※4 2023年11月21日の衆議院予算委員会で自民党の平将明議員が世界におけるAIの規制についてとりあげ、日本版AI Safety Institute創設の提言を行った。
R5.11.21 衆議院予算委員会(平将明 vs 岸田 総理大臣、西村 経産大臣、高市 科学技術大臣、河野 デジタル大臣)https://youtu.be/EyZececOsPw?si=7u65ArtFLTDTLVm9&t=66

※5 NHK「生成AIの安全性など研究する国の機関 1月めどに設立へ 首相」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231221/k10014294821000.html

※6 日本経済新聞は何度かAGIを「万能AI」と表現している。
万能AIがもたらす未来 物理法則を発見する可能性も
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77499030Y4A100C2TLH000/

※7 SuperintelligenceはBostrom Nick「Superintelligence : Paths, Dangers, Strategies」が有名だが、翻訳は『スーパー・インテリジェンス―超絶AIと人類の命運』。となっている。

※8 2023年12月1日に『生成AIで世界はこう変わる』の著者で知られるAI研究者の今井翔太氏が、流行語大賞で「生成AI」が選ばれたことを受けて、以下のようにXでツイートした。

「生成AIは2023年で盛り上がりが収まる可能性も考えられたけど,動画生成で直近でかなり進捗,OpenAIが開発しているQ*という超性能AIが事実,GPT-5の学習が動いている可能性が高いことを考えると,2024年が本番かもしれない来年の流行語大賞の候補に「汎用人工知能(AGI)」か「超知能」が入ると予想」
https://twitter.com/ImAI_Eruel

※9 OpenAI「Our structure」
https://openai.com/our-structure

※10 GoogleDeepmindによる「AGIの 9 つの著名な定義」の分析に関する論文がある。
Morris, M. R., Sohl-dickstein, J., Fiedel, N., Warkentin, T., Dafoe, A., Faust, A., … & Legg, S. (2023).  Levels of AGI: Operationalizing Progress on the Path to AGI. arXiv preprint arXiv:2311.02462.
https://arxiv.org/abs/2311.02462

※11 具体的に列挙しているとキリがないものの、発言している日本人を取り上げる。

例えば、英ARMを保有するソフトバンクグループの孫正義会長は、2023年10月のSoftBank World 2023にて「人類叡智総和の10倍AGIが10年以内、人類叡智総和の1万倍であるASIには20年以内にやってくる」としたが、孫氏のAGIの定義はASIとして捉えられる。

その後登壇した宮川社長は「シンギュラリティ(人智超越)」を取り上げ、GPUの登場によりムーアの法則は早まり、シンギュラリティは2045年ではなく2025年に達するとしている。

「SoftBank World 2023 孫 正義 特別講演 AGIを中心とした新たな世界へ」
https://youtu.be/CC1aVkPsdbI?feature=shared
「SoftBank World 2023 宮川 潤一 基調講演 AI共存社会に向けて」
https://youtu.be/CC1aVkPsdbI?feature=shared

なお、OpenAIceoのサムアルトマンは、AGIの実現について幾つかの発言をしているが、2023年12月24日に、Xにてユーザーの要望を募集し、「thanks a lot for these! some common requests:AGI (a little patience please) GPT-5 (略)」とツイートしている。
https://twitter.com/sama/status/1738673279085457661

書き手の観察では主要AI開発企業・半導体企業のCEOまたは研究者等の関係者の発言では、AGI実現のタイムスパンに関する発言は「2025年~2029年」がほとんどのように感じられる。ただ、今年出るだろうGPT-5でも幾分か「自律的」には感じるのかもしれない・・。(今以上パワフルなものが手に入ることに驚きを隠せない。)

※12 2023年12月14日にOpenAIはSuperalignment Fast Grantsを開始。「スーパーインテリジェンス(超人的AI)が今後 10 年以内に登場する可能性があると信じている」として、Google元会長のエリック・シュミットと連携した安全性を確保するための技術研究に関する協働助成プログラムを発表した。

OpenAI「Superalignment Fast Grants」
https://openai.com/blog/superalignment-fast-grants

2.もっと「個人の経験」に焦点化を

※1 2021年1月30日(土)に、AIとロボットを組み合わせ研究と実験の自動化に取り組む「AI駆動科学」の実現を目指す高橋亘一氏(理化学研究所)は、「知能爆発はいつどのように起きるのか」の講演の中で、所謂「存在論的リスク」は人類の存続にかかわるリスクであるため、リスクマネジメントの基本として「優先度=生起確率×インパクト」とし、仮にシンギュラリティが微小に起こる確率しかないとしても、起きると人類の歴史が根本から変わり、インパクトが大きいため真面目に考える必要があると説明している。

参考:知能爆発はいつどのように起きるのか 講師:高橋 恒一【SpringX超学校】
https://www.youtube.com/live/RbHq-zkstA4?si=ubJN0I5nt5ZgyQlS

3.個人にとって何がリスクなのか?

※1 Achiam, J., Adler, S., Agarwal, S., Ahmad, L., Akkaya, I., Aleman, F. L., … & McGrew, B. (2023). Gpt-4 technical report. arXiv preprint arXiv:2303.08774.
https://arxiv.org/abs/2303.08774

日本語に翻訳している個人の方の記事を参照した。
[翻訳] GPT-4 System Card (前編)
https://qiita.com/taka_yayoi/items/4dca63f26a654c296588

※2 Beridze, I., & Butcher, J. (2019). When seeing is no longer believing. Nature Machine Intelligence, 1(8), 332-334.

4.仕事はどうなる?不確実な「仕事」の未来

※1 ビックテックではAIを要因としてレイオフについて次々と発表している。
参考:JBpress「Googleの「増やしすぎた従業員」と「AI投資」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/79004

※2 マイクロソフトは核融合発電を行うヘリオン・エナジーと初めて電力供給契約した。
MIT Technology Review
「マイクロソフトが購入契約、夢の「商用核融合炉」5年後に稼働するか」
https://www.technologyreview.jp/s/307173/this-startup-says-its-first-fusion-plant-is-five-years-away-experts-doubt-it/

※3 State of AI Report Compute Index
https://www.stateof.ai/compute

※4 2024年01月19日メタ社のCEOのマーク・ザッカーバーグ氏はAGIの開発とオープンソース化を目指すと発表した上で、2024年末までに35万台のNVIDIA H100を含む大規模な計算インフラストラクチャーを構築するとした。それ以外のビックテックもNVIDIA等の半導体を大量購入している。

参考:メタが汎用人工知能(AGI)のオープンソース化計画、ザッカーバーグ宣言
https://news.yahoo.co.jp/articles/c61c71c0c53c6c5b9ca2215874237e8ba119499d

※5 2024年1月11日に公開されたビルゲイツとの対談で、OpenAIのCEOであるサム・アルトマンの発言の要旨を引用。
参考:“This is the stupidest these models will ever be” | Unconfuse Me with Bill Gates
https://youtu.be/IwU0Eqe9v6A?si=8E_aZoMUJqsyuSix

※6 モラベックのパラドックス:高度な推論よりも感覚運動スキルの方が多くの計算資源を要すること。しかし、最近ではシャツをたたむテスラのロボットや、料理をするロボットが現れており多くの人を驚かせている。今年はロボット工学とAI技術の融合がすすみ、進化しそうである。
https://twitter.com/elonmusk/status/1746964887949934958
https://youtu.be/mnLVbwxSdNM?si=roYLkz7eGjnC11U3

※7「2018年に行われていた仕事の6割が1940年にはまだ発明されていない」
Autor, D., Chin, C., Salomons, A. M., & Seegmiller, B. (2022). New Frontiers: The Origins and Content of New Work, 1940–2018 (No. w30389). National Bureau of Economic
https://www.nber.org/papers/w30389
上記論文はデヴィッド・オーター(2023)『The Work of the Future:AI 時代の「よい仕事」を創る』(‎ 慶應義塾大学出版会)からの孫引き。

5.UBIで「生きる」は支えきれるか?

※1 ワールドコインはブロックチェーン技術に基づく暗号資産であるが、人の眼の虹彩のデータを収集するのと引き換えに暗号資産(仮想通貨)を無料で配布する独自性がある。以下ホワイトペーパーを引用。「Worldcoin は、人類の大多数が所有する、世界規模の包括的なアイデンティティと金融ネットワークを作成するという使命を持って設立されました。成功すれば、ワールドコインは経済的機会を大幅に増やし、プライバシーを保護しながらオンラインで人間とAIを区別するための信頼できるソリューションを拡張し、世界的な民主的プロセスを可能にし、AIが資金を提供するUBIへの潜在的な道筋を示す可能性がある。」
https://whitepaper.worldcoin.org/

6.分配が容易ではない「生きる意味」「存在意義」

※1 トーマス・E・ジョイナーは所属感の減弱と負担感の知覚が自殺願望を生み、身に着いた自殺の潜在能力が重なることで、重篤な自殺企図が生起されるとする「自殺の対人関係理論」を提唱した。
参考:Thomas E. Joiner Jr(2011)自殺の対人関係理論 予防・治療の実践マニュアル

※2 経済学者のパヴリーナ・R・チェルネワは雇用保障政策(job guarantee policy)を主張している。
https://www.greeneuropeanjournal.eu/guaranteeing-the-right-to-decent-work/

※3アリシア・フラミス(オランダ) はホログラムと世界で初めて結婚したとしてセンセーショナルに報道されたが、人間の孤独に注目しているアーティストであり、結婚は「Hybrid couple」という「アート作品」である。アリシアは「ロボットやホログラムとの愛とセックスは避けられない現実です。彼らは素晴らしい仲間となり、共感を表現することができます。電話が私たちを孤独から救い、人生の空虚さを埋めてくれたのと同じように、家庭内でのインタラクティブな存在としてのホログラムは、それをさらに前進させる」と主張。これらのパフォーマンスは「人間と AI の相互作用の無限の可能性」を示し、人間の孤独を埋めるのは人間同士のつながりだけで「ない」ことを示しているように感じられる。参考:Hybrid couple

https://www.aliciaframis.com/work/154/hybrid-couple

※4 朝日新聞「AIBOの「お葬式」、100台供養 司会は新型ロボ」
https://www.asahi.com/articles/ASK682V8VK68UDCB002.html

その他参考文献

Lee, K. F.(2022) 『AI 2041: 人工知能が変える 20 年後の未来』
笹原和俊. (2023). ディープフェイクの衝撃: AI 技術がもたらす破壊と創造. PHP 研究所.
井上智洋(2023)『AI失業 生成AIは私たちの仕事をどう奪うのか?』SB新書 634
ダニエル・サスキンド(2022)World without work: AI 時代の新 「大きな政府」 論.みすず書房
スズキ トモ(2022)「新しい資本主義」のアカウンティング
「利益」に囚われた成熟経済社会のアポリア.中央経済社
安宅和人(2023)人類の抱える2大課題、、実魂電才(物魂電才2)
https://kaz-ataka.hatenablog.com/entry/2023/12/23/132444
Vitalik Buterin(2023)「My techno-optimism」
https://vitalik.eth.limo/general/2023/11/27/techno_optimism.html
黛まどか. (2012).「引き算の美学: もの言わぬ国の文化力」.毎日新聞社
オードリー・タン『何もない空間が価値を生む: AI 時代の哲学』


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