寄付や助成金など様々な方法がありますが、「どの方法でどう集めるか」の全体観を設計することは難しいです。
海外では、急激に成長し、社会課題解決を加速している非営利団体が多く存在します。
それらの団体がどのように資金を調達しているのか、5つの分類を紹介します。
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今回取り上げるのは、「非営利団体はどのように巨大化していくのか」という題の海外の調査記事です。
「How Nonprofits Get Really Big」Stanford Social Innovation Review
https://ssir.org/articles/entry/how_nonprofits_get_really_big
NPOの活動資金がどこからやってくるのか、NPOはどれだけ大きくなるべきなのかそしてOVAはどのような運営を目指しているのかについて非常に参考になる情報がたくさん載っています。
この記事をもとに、OVAのことも考えてみたいと思います。
年間予算50億円以上のNPOは米国に144団体存在する
今回取り上げた記事による調査では、この40年間で規模が大きくなったNPOが、どのように資金規模を拡大していったのかを調べています。
1970年から2007年まで、40年弱で200,000以上のNPOが米国で生まれてきました。
(2017年の日本のNPO数は約50,000となっています。)
その内、年間予算が50億以上に到達したのは「たったの」(!)144団体です。
新しいNPOが1970年以降の設立という前提や、大学と病院は含まないなどの条件もありますが、分析されたのは、ここ40年以内に50億円規模に成長した144団体です。
大規模団体は単一財源に依存している
NPOが社会課題に取り組み、事業を拡大するためには資金が必要です。
その資金源は、一つの財源への依存ではなく、多様であることが理想と言われがちです。
しかし今回の調査から、144団体のうち財政情報を入手した110団体の約90%が単一の財源に依存していることが分かりました。
例えば低所得者の腎疾患治療を支援するアメリカ腎臓財団は1990年までは6億円規模の団体でした。
法律の改正などで、低所得者の支援が必要になった96年以降、企業からの寄付調達に特化し始め、2000年には20億円、2004年には70億円規模の団体に成長していきました。
このような単一財源の強化を進めつつ、リスク管理も行われています。
アメリカ腎臓財団では、寄付頂く企業を同じ業界内で増やしていくといった方針を取っています。
それでも財源の多様化は必要
団体の資金源を占める財源が一つあったとしても、それ以外の財源も必要です。
調査対象となった団体の20%以上が、収入の10%を占める財源を別に持っています。
このような財源は、「まだ政府や行政の予算がつかないようなプログラムを実施」する上で必要な財源になります。
それでは、単一の財源にしろ、多様な財源にしろ、非営利団体はどこから資金を集めることができるのでしょうか?
記事では、5分類の財源から自団体に合致するものを探す必要があると書かれています。
1.政府財源
米国では合衆国政府が飢餓、医学研究、国際協力に、地方政府が雇用、福祉、教育に資金提供をすることが多くあります。
公共の一部を政府に代わって担う役割を担い、その対価を受け取るモデルです。
2.受益者負担
地域の診療所、奨学ローン、就労支援などがこれに当てはまります。
原則、サービス利用者から料金を取りますが、その一部や大半を公的機関が担う場合もあります。
3.企業
フードバンクや国際協力の分野では、企業による現物支援が多く見られます。
4.個人寄付
身の回りの社会課題にかかわる場合は個人寄付の比重が多くなるそうです。
環境保護や医療福祉の分野では比較的寄付が集まりやすいと言われています。
5.財団
最後に、最も割合が少ないものとして財団の寄付があります。
今回の調査では医学研究を推進する団体が当てはまりました。
課題解決にある程度明確な道筋があるが、大規模な資金がネックになっている場合に見られるモデルだと言われています。
OVAの展望となぜご寄付が必要か
OVAは2014年に法人化してから、4.個人寄付によって支えられてきました。
2017年度からは5.財団寄付が加わり、基盤の強化を行い、2018年度から1.政府財源(地方自治体)の委託事業が始まりました。
4年間で、事業への評価が変わるとともに財源基盤も変わっていることがわかります。
オンラインを活用した相談活動は、これからも自治体の事業として全国に広めていく予定です。
その意味では、この記事に書いてあるように、単一財源によって拡大している団体だと言えます。
しかし、声なき声事業のように、団体の理念達成に向けて全く新しい事業も定期的に立ち上がります。
新しいため評価を頂くことも難しい事業に対して、理念や事業に共感して下さる皆さまのご寄付を頂くことで、理想とする社会に少しでも近づけていくことが必要であると考えています。
皆さまに支えて頂くことで新しい取り組みを始めて、社会に評価されれば他の形で資金が集まり安定化する、そして社会に足りていない機能をまた見つけ、新しいことを始めるという循環でOVAの事業も進んでいくと思います。
ぜひこれからもOVAを応援して頂ければ幸いです。
執筆者
事務局ファンドレイザー
土田毅 プロフィール
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