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社会起業家におすすめの国ランキングと日本の順位

OVAの事務局ブログをご覧いただいてありがとうございます。 事務局の土田です。

このブログをご覧いただいている方は、社会起業やソーシャルビジネス、社会課題解決などに興味があると思います。
今回は、社会的起業をしやすい国のランキングを見つけたので、その内容について深堀してみました。 http://poll2016.trust.org/ 

の調査は、ソーシャルビジネスや社会課題解決への事業としての取り組みやすさを、政府の後押し、人材の獲得しやすさ、社会の認知、収入の得やすさ、社会的な気運、投資調達機会の6つの観点からランク付けされています。
実施元のトムソンロイター財団は、世界的なニュース通信会社ロイターが設立した財団です。 https://www.thomsonreuters.co.jp/ja/about-us/thomson-reuters-foundation.html

なぜ調査が行われたか

現在世界中で社会課題を解決するビジネスがトレンドとなっており、社会起業家が多く生まれています。
ソーシャルベンチャーによる資金調達も活発に行われたり、日本でも内閣府主導社会的インパクト投資が広まるなど、官民問わず動きが活発化しています。

このようにビジネスセクター、公共セクターの動きがありながら、「どこの国の政府がどれだけ力を入れているか」の比較が行われておらず、実態が把握できていませんでした。 この調査では、共通の評価軸を用いて国別の取り組みを客観的に評価することで、経済界、社会起業家、政策関係者、投資家が社会起業の議論を深めてほしい狙いがあるそうです。

調査デザインと6つの評価軸

調査デザイン

今回調査の対象になったのは、GDPトップ45ヵ国でした。(1位はアメリカ、45位はギリシャ)
各国ごとに12~20名の学術、起業、投資、政策関係の専門家にインタビュー調査が行われ、合計で619名の回答をもとにデータが分析されました。
※詳細はこちらhttp://poll2016.trust.org/documents/full-methodology.pdf?v3

評価軸

「社会起業家が事業を始めて育てる環境が整っていますか」「社会起業家は非金銭的なサポートを受けやすいですか」「社会一般で社会起業家が何をしているか知られていますか」といった12の質問が専門家に質問され、回答がスコア化されて国別にランキング化されました。
12の質問で、政府の後押し、人材の獲得しやすさ、社会の認知、収入の得やすさ、社会的な気運、投資調達機会の6つの観点で評価されています。

トップ10ヵ国とその特徴

社会起業家におすすめの国トップ10は以下の通りです。

  1. アメリカ
  2. カナダ
  3. イギリス
  4. シンガポール
  5. イスラエル
  6. チリ
  7. 韓国
  8. 香港
  9. マレーシア
  10. フランス

それぞれの国の総評をざっくり見てみましょう。

アメリカ

GDP世界最大のアメリカは、社会起業のしやすさも1位でした。
45ヵ国中1位の回答が4つ、最低順位でも22位と、平均して高い特徴があります。 中でも1位だった4つの質問「社会起業のスタートと成長のしやすさ」「営利企業への販売のしやすさ」「一般市民への販売のしやすさ」「スキルのあるスタッフの集めやすさ」から見られるように、市場に受け入れられており、営利企業と変わらないビジネス環境が推測されます。 その反面「助成金を得やすい」が22位、「政府への販売のしやすさ」が17位と、公的な資金サポートはビジネス環境に比べると薄いようです。

カナダ

「社会起業で生活できる」「社会起業が盛り上がっている」「投融資を受けやすい」が1位となっています。 全ての回答が10位以内と非常にバランスが良いことから、土壌が整っており、かつ社会からも投資機会として評価されていることが推測されます。

イギリス

「社会起業で生活できる」「非金銭的なサポートを受けやすい」がそれぞれ2位と3位に入っています。 全体的に順位が高いのですが、「政府への販売しやすさ」「社会起業が盛り上がっている」は28位、27位と、ある程度社会起業の環境が整って成熟期を迎えたのかもしれません

シンガポール

「非金銭的なサポートを受けやすい」が1位の国です。他にも、「社会全体の盛り上がり」「政策的な後押し」「政府への販売のしやすさ」が2位~3位につけており、政策的な動きの強さがうかがえます。 半面、「スキルのあるスタッフの集めやすさ」41位、「生活できる」38位、「一般市民への販売しやすさ」31位など、市場には受け入れられておらず、ビジネス環境的には厳しそうです。

イスラエル

「社会起業家に対する社会全体の理解」が1位の国で、「非金銭的なサポートの受けやすさ」も4位となっています。
半面「一般企業への販売」が37位、「投融資の受けやすさ」が24位と、ビジネス機会が広がる余裕がまだありそうです。

他にも、
6位チリ:「政策的後押し」3位、「社会の理解」2位⇔「企業への販売」31位、「政府への販売」34位
7位韓国:「政策的後押し」1位、「政府への販売」1位⇔「企業への販売」31位、「社会起業の盛り上がり」41位
8位香港:「助成金の受けやすさ」1位、「政府への販売」5位⇔「生活できる」29位、「スキルのあるスタッフ獲得」28位
9位マレーシア:「助成金の受けやすさ」2位、「企業への販売」4位⇔「スキルのあるスタッフ集め」35位
10位フランス:「社会起業のしやすさ」3位、「政策的後押し」3位⇔「生活できる」30位、「一般社会への販売」28位 など
トップ10か国だけでも、要素によってかなりのばらつきがあります。

日本はブラジルと同率で40位/45か国

日本のランキングはどうなっているのでしょうか? GDP世界第3位の日本は45か国中、ブラジルと同位で40位でした。

各項目についてみてみると、最も順位が高かったのが「助成金の受けやすさ」で23位となっています。
半面、「非金銭的なサポート」42位、「営利企業への販売」42位、「スキルのあるスタッフ獲得」43位、「社会起業の盛り上がり」43位と、他国に比べるとトレンド自体が生まれていないようです。

この結果をどう活用するか

統計データを基にした調査ではなく専門家へのインタビューという形式という限界はありますが、今回の調査は単純なランキングとして興味深く、また国ごとの特徴もざっくりと把握できるものだったと思います。
日本の社会起業環境について考える上で、韓国などの指標になりそうな国を一つの目標として見てみたり、ブラジルなどのランキングが近い国を客観的に調べてみるといった活用ができそうです。

執筆者 事務局ファンドレイザー 土田毅 プロフィール

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 2019年2月20日

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