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寄付は命を救うのか?メンタルヘルス分野に寄付が集まるべき理由

社会課題解決に取り組むNPO・NGOの多くは、寄付を集めることで活動資金に充てています。
事業自体では収益が上げにくい団体が多く、いかに共感を生んで寄付を集めるは、多くの非営利団体の重要なテーマです。
実際に、寄付によってどれだけ社会課題が解決されて、世の中が変わるのでしょうか?
医療・メンタルヘルス分野での現状に関する調査が進んでいます。

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今日は「寄付が社会課題解決につながるのか?」について事例のご紹介をしたいと思います。

アイスバケツチャレンジを覚えていますか?

2014年に流行したアイスバケツチャレンジを覚えているでしょうか?
このアクションは2014年7月頃に、米国でALS(筋萎縮性側索硬化症)の
理解促進とチャリティ促進の取り組みとして広まりました。

米国ではアクション開始から約3週間で前年1年間の400倍以上、14億円以上の寄付が集まり、
ALSの治療研究の推進(特に遺伝子研究)に大きく貢献したといわれています。
参考 https://www.huffingtonpost.jp/2016/07/30/ice-bucket-challenge_n_11275150.html

この例は特定のテーマ(疾患)に寄付が集まり、
目に見える形で課題解決への一歩が進んだ例だと思います。

それでは、同じく医療の分野に分類されるメンタルヘルスでは、
どれだけの寄付が集まり、どれだけの成果が見込めそうなのでしょうか?
このテーマを分析した記事をもとにご紹介します。
https://www.huffingtonpost.com/dr-matt-goldenberg-do-/how-increased-fundraising_b_11079332.html

疾患別の寄付の現状

まずは医療分野への寄付の全体感を見ていきます。
2011年米国の疾病による死因の内、最も多い3つを見てみると心疾患、COPD(慢性の気管支炎)、糖尿病等の生活習慣病が占めています。

それぞれ年間の死亡者数は600,000人、143,000人、74,000人程と推定されています。

米国では疾患の治療研究のためのチャリティキャンペーンが盛んにおこなわれており、
上記の3つの疾患の治療研究でも、代表的なキャンペーンだけでそれぞれ55億円、7億円、4.2億円がチャリティーから集まっています。

キャンペーンを通した寄付額を疾患別に見ていくと、寄付額トップ3の疾患は、乳がん、前立腺がん、心疾患となっており、それぞれ260億円、150億円、55億円が集まっています。

※ちなみに日本国内の寄付額の総計は個人が約7,800億円(2016)、法人が約7,900億円(2015)です。
 寄付白書2017より

メンタルヘルス分野の寄付

2011年、米国では約40,000人の方が自殺でなくなっており、これは乳がんで亡くなる方と非常に近い数値です。

しかしメンタルヘルス分野で集まっている寄付は3億円にとどまっており、これは乳がん分野の約90分の1となっています。

米国でも成人の約20%が毎年うつや気分障害などの精神疾患に罹患している現状を考えると、メンタルヘルス分野にもっと寄付が集まる必要があるのではないでしょうか?

寄付を集める=資金を集める 以上の意味を持つ

メンタルヘルス分野は、他の疾患と比較しても多くの人に影響を与えるにも関わらず、寄付が集まっていない分野であるといえます。
このような現状の要因として「身体疾患に比べて優先順位が低くみなされている」ということが考えられます。

これはメンタルヘルスに対する社会的なイメージ(スティグマ)や、効果の測定が難しい(あるいは積極的に公表されてこなかった)ことが原因だと考えられます。
今回紹介している記事の作者も、

「ハイリスク群やリスク要因を特定し、メンタルヘルス疾患由来の死=自殺を
減らす適切な介入方法を生むことができる」

と結論付けています。

OVAでは自殺関連用語への検索連動広告の表示と、自殺を考えている方への相談事業を行い、その結果を論文などの形で国内外で発信し、「どれだけのコストで」「どれだけの効果が出たのか」を測定してきました。
またメディアへのコメントや、「声なき声」を解明するプロジェクトを通して、「周りに助けてと言えない」社会の雰囲気を変える取り組みを行っています。

メンタルヘルスや自殺に追い込まれる問題を解決するためには、社会の雰囲気、私たち一人ひとりの姿勢も変わる必要があると考えています。
社会の雰囲気と意識を変えて、一緒に問題解決をサポートしてくれる仲間を集め、
事業を行い評価・公表を積極的に行うことで、さらにポジティブに社会の意識を変えるサイクルが必要です。

OVAはこれからも事業を通して「誰もが助けてといえる社会づくり」を進めてまいります。

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